君の膵臓をたべたい

キミスイ見どころリレーコメント

第1回

世武裕子

Q1. 本作の制作において特に注目してほしいこだわりのポイント
今回初めてアニメーション作品の音楽を制作させていただいたので、少し説明を多くする作り方にトライしています。実写の劇伴は、役者さんの表情やお芝居の間合いから引き算をしたりもしますが、アニメーションでは逆のことができるのではないかと考えました。
あとやはりヒロインが可愛く見えるような音作りをしたいと思い、桜良ちゃんの動きの感じや髪の毛のなびきなどからイメージして、ピッツィカートをよく使っています。

※ピッツィカート…バイオリンなどの弦楽器で弓を使わずに指で弦をはじく奏法

Q2. 劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』を楽しみにしている皆様へのメッセージ
絵コンテを読んだ時に、この物語が伝えたいメッセージというものがシンプルに表現されていると感じたし、そこに向かってキャラクターや構成に肉付けがされているように思いました。それゆえに心にじわりと満ちていく感覚があって、この最初に自分が持った感覚が損なわれないように伝わればいいなと思って音楽も作っています。きっと監督をはじめとした映像チームの皆さんも、原作を大切に思って制作されていると思います。この物語の尊いメッセージと、そこに至るまでのお話を、他人ごとではなく自分の物語だと感じて持ち帰っていただけたら嬉しいです。

世武裕子

東京都葛飾出身、滋賀県育ちのシンガーソングライター、映画音楽作曲家。
フランスに留学し、Ecole Normale de Musique de Paris 映画音楽学科を首席で卒業。
在仏中には俳優学校で映画演技も学ぶ。
パリと東京で短編映画制作に携わったのち、『家族X』で初めて長編映画の音楽を担当。
以降、映画やテレビドラマ、数多くのCM音楽を手掛ける。
近年、映画では『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』『羊と鋼の森』、ドラマでは『べっぴんさん』などの音楽を担当している。